九州発 気持ちは晴れ!

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バス乗務員 ある公休出勤日の出来事② 初事故

 朝8時台の最も緊張する時間が終わろうとしていた。

 

天神ソラリアステージ前を定時で発車し、

 

市民会館、対馬小路方面へ向かうため

第1車線から第3車線へ移らなくてはいけない。

 

天神交差点

ここは各方面から来た車両がまたそれぞれの方向にクロスする

要注意のポイントである。

 

発進時は後続車がなく、

そのまま第2車線へ移行。

 

前方では一台の赤のベンツがウサギの様に

第1車線から第4車線へ

急な進路変更をしている。

慣れていないのであろう。

 

 

私は20km/hに満たないスロースピードで、

さらに右方向ウインカーを出した。

 

すると、右後方の原付バイクが

広く車間を空けてくれた。

「助かります、ありがとう。」の気持ちを込めて

手を出してお礼の合図をした。

 

8割方ボディが第3車線に入った時、

 

なんと

第4車線(右折レーン)にいた、先程の赤いベンツが、

ウィンカーなしで

いきなりこちら(第3車線)にハンドルを切ってきた。

 

「ああっ」

思わず声が出た。

 

衝撃はなかった。

しかし感覚からいって接触したのは間違いない。

 

前方の信号が赤になったので、停止し車外へ出て確認する。

 

バスの右前に赤い塗料が20cm付いていた。

 

天神のど真ん中の交差点。

 

現場検証が必要であるから、交差点の左端への移動を促すが、

ベンツ氏は

「いいよいいよ」とそのまま行こうとしている。

 

「ダメダメ」

わたしはやや強い口調で、誘導した。

 

ドライバーは

20代後半の落ち着いた感じの青年であった。

 

 

乗客には申し訳ないが、事情を説明して後続のバスに乗り換えていただく。

 

 

さいわい、ケガ人はなかった。

 

5分後警察官が到着し状況を説明した。

 

この時、

警察官はどちらが悪いのか

判断するのではなく、

 

事件性がなければ、

あとあと揉めない様に状況を記録するだけである。

 

会社からも助役が到着。

ベンツの無理な車線変更に対応できなかったこと、

ベンツ氏がそのまま行こうとしていたこと等、

 

ありのままに報告した。

 

また、これも幸いなことに

バスもベンツも車体に凹みがなく、表面塗装の剥げだけにとどまった。

 

「お互い気を付けましょう」

 

連絡先を交換して、

別れた。

 

わたしも運行に復帰しなければならない。

 

乗り込む直前に助役が

「相手は高級外車だから、修理費で負けるかもしれない」

とつぶやいた。

 

次の運行に気持ちを切り替えようとしていたのに、

この一言がずっと気になった。

 

19時過ぎ ’’無事に’’ 帰社するやいなや

助役から、

「非責になった」と報告があった。

わたしに責任はないということだ。

 

会社がベンツ氏に

ドラレコ映像を詳細に分析して説明した模様で、

急な割込みが事故を誘発したということで合意となった。

 

事故直後、大丈夫だから行くよという反応は

裏を返せば、ベンツ氏が非を認めている。

そう思っていたので勝算はあった。

 

 たとえ非責でも、

これから事故報告書を作成しなければならないが、

とにかくホッとした。

 

今回の事故を通してあらためて感じたこと

 

・車線変更の際、後方がスペースを空けてくれても、

 そこに他の車両が急に入り込んできて衝突する危険性がある。

 

・交通量の多い地点での事故では、後続が渋滞して迷惑をかけるが、

 安全な場所に停めて、必ず警察の現場検証を受ける。

 

・相手に事故原因がありそうな場合でも、

 現場で相手に対して強い態度で出ない。

 (後刻冷静になると、第三者の入れ智恵によって損害を訴え、もめる可能性がある)

 

事故以降、この交差点を通過する時は

緊張度がマックスに達するようになった。

 

 

そして、最後に

「いつもより疲れが溜まってきているな」

と感じた時は

 

公休日はしっかり休もう。