バス乗務員 朝の情景
午前8時半
朝の通勤のピークの乗客を降ろし、近隣の営業所へ。
30分の休憩時間は、満員の乗客のバスを無事にターミナルに到着することができた達成感と
安堵感で、ちょっとチカラが抜けるひと時である。
ここは、様々な方面から到着したバス・運転士が休息する場で、
遠方から夜通し走ってきた高速バスの姿も見える。
一夜の走行で付いた汚れを係員がモップを巧みに使用して洗い流している。
そのモップをバケツですすぐその音が、春の風といっしょに聞こえてきて、
心地よく、ついついウトウトしてしまう。
折り返しの時間になった。
先程のターミナルから
今度は、手押しのシルバーカーを携えたお年寄りが
ドア付近で段差を上れずにいると、
後ろにいたビジネスマンが介助して
何とか乗車できた。
ありがたい。
今度はお降りになる時のことを考えておかねばならない。
降りる時の方が圧倒的にバランスを崩しやすく、
転倒の危険が大である。
10分程走行後、そのお年寄りが降車ボタンを押すのを確認した。
ここからが勝負である。
まずは、完全に止まるまでお立ちにならない様アナウンスする。
そして、バス停ではできるだけ、歩道に近づけて止める。
ドアを開けてみると
車体と歩道が当たりそうなくらいスレスレだった。
うまくいった。
次に、お降りの際に介助を申し出るが
大丈夫とのこと。
「ゆっくりいいですよ。」
一歩一歩確かめながら
無事お降りになった。
まだ先の行程あるが、本当にホッとした瞬間であった。
安全に乗降いただいて
感謝である。