昭和63年 はやぶさ号で鹿児島へ①
1988年11月 東京駅10番ホーム
エスカレーターで上がると
ブルーの車体の照り、電源車の発電機の轟音、行先表示板・・・
最長距離列車はすでにホームに据え付けられており、気持ちは最高潮に達します。
「まもなく 寝台特別急行はやぶさ号 西鹿児島行 発車しま~す。乗車終了。」
ピーッ 汽笛と共にブルーの車体は静かに動き出しました。
並走する山手線、京浜東北線や東京タワーが旅立ちを見送ってくれてます。
90km/hぐらいでしょうか。防音とバネの効いた客車はスムーズに機関車に
引っ張られていて快適です。
八ッ山橋をくぐり複雑なポイントから解放されると更にスピードアップ。
多摩川にさしかかると、
さよなら東京。坂本九さんの曲が浮かびます。
このあと、相模川、酒匂川、富士川、安倍川、大井川、天竜川・・・
これから長い鉄橋をいくつも渡って行くんだな。
博多車掌区の専務車掌のアナウンスが九州なまりで、九州出身者にはたまらないと思います。
18時をまわって、この列車の前には長崎行さくら号、あとには熊本行みずほ号が
それぞれ九州へ向かっています。
乗車率は5割位かな。同じコンパートメントの相席の親子は八代までとのこと。
製紙工場の独特な匂いが車内でもしてくると静岡県です。もう日が暮れており
富士山は望めない。帰りの富士号でじっくり見る予定です。
(↓このように見えます。)
東京出発して3時間。そろそろお腹が空いてきたので食堂車へ。
お決まりのハヤシライスと瓶ビールを注文。ビールはウェイトレスさんがついでくれる。まだ学生の身であるのになんか偉くなったような。走り去る東海道の夜景を見ながらの食事は格別だな。
静岡まで180km、名古屋まで360km。だいたい180~200km毎に都市が形成されていることに気づく。この先、大阪、岡山、広島も同様。昔の街道の宿場の影響か。運転士もそのあたりで交代するようです。
名古屋では、立ち食いきしめん屋さんが見えた。食べる時間はなさそう。
先頭では、荷物が下ろされています。
客車の中では、減灯されて21時という時間が深夜に感じられます。
名古屋ではまだまだサラリーマンが 家路につく姿が見えます。
これからいよいよ関ヶ原越えです。カーブもキツイ。機関車はスパークを放ちながらグイグイ引っ張っていきます。
山間の夜景は暗くてよくわからない。先ほどのビールの酔いもまわってきたの
でここで眠りに就くこととします。
②へつづく
(挿入した写真は当時のものを使っております。)